炭素循環と鉢栽培

  ランを鉢に植えるということはどういうことなのであろうか。
  地生ランまで鉢に植える。
  着生ランを釣り鉢にする。
  自生地と全く異なる栽培法である。
  人間の身勝手と叡智がミックスされた栽培法である。

  鉢栽培は他の多くの植物でも行われている。
  しかし、ランの鉢栽培は、他の植物に比較して難しい。
  だから、ラン栽培は園芸の中で、最も高級とされ、その技術も高級とされてきた。
  その原因は何か。
  一口にいえば、他の多くの植物はラン菌のような微生物が、絶対的に必要としないことである。
  他の植物にも着生植物はある。
  しかし、その栽培は、ランほど難しくはない。
  
  ラン栽培を難しくしているのは、ラン菌という共生関係と、
  ラン菌の炭素循環である。
  これが、これまで、ラン栽培において重要視されてこなかった。
  ここに大きな誤りがあったということである。
  鉢栽培というのは、自生地と全く異なる小さなエリアが人工的に作られたところである。
  ランが喜んで生きる場所ではない。
  自生地再現のために人間が考えた・・・保水、排水、耐久性、利便性であるが、
  その中に入れるコンポストが、ラン栽培では、これまでラン菌削除のものだったということである。
  このため、多湿になると簡単に根腐れを起こす。
  この多湿を防止することに重点が置かれてきた。
  しかし、自生地では、2,3日も雨が降る場合もある。
  それでも根腐れなど起こらない。
  鉢栽培では、そのような多湿では根腐れを起こす。
  この問題をこれまでラン菌の働きから考えることはなかった。
  鉢の素材、焼く温度、形状、底穴の大きさ、コンポストから追及されてきた。
  ラン菌削除である。

  大切なランほど、鉢栽培で保存してきた。
  大切な鉢を地植えすると、保存が難しいことを経験上知っているからである。
  細心の栽培を行えば、どうにか保存できるランが多いからである。
  しかし、一度株が衰弱すれば、その回復は極端に難しくなる。
  原因は、鉢に自生地の枯れ落ち葉のラン菌による炭素循環がないからである。

 
  
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