シンビ、　シンビーーーーそしてシンビ。

私は、シンビを追い求めてきたがーーー
西行のさくらを想えば、その執着は、想いは、たいしたことはない。
蘭の世界でも、新種を求めてーーー海を渡った先達の情念を想えば、
私のーーーー「こころの花」は小さい。

　　　　　　花あれば西行の日をおもふべし
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　角川　源義　　　　西行の日

交配して花を見るまで早くて6年。
この年月を想えば、私が重ねることが出来るのは、わずか一世代のみ・・・・
育種は交配を重ねることだが、私には、何世代も重ねる年月は残っていない。
私はランつくり。生き物を保存し続けることの難しさをしっている。
いつ、枯死するかわからないーーーー
このことと「西行の日」を重ね、私の来年を想えばーーー
この花の白の美しさがーーーー「はらはら」と沁みてくる。
　

　　　　　　　　　植えざれば耕さざれば生まざれば
　　　　　　　　　　　　　　　　見つくすのみの命もつなり　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　馬場　あき子

歌人馬場　あき子は｢生きる悔しみ」と「みずからの生命」をいつくしむ。
私の蘭創りは、植えて、植えてーーー植えて、
そしてーーー花の性（さが）を耕して、新しい花を生み創り・・・・
見て、観て、視てーーー看て、花の生命を掬うことである。
この花の・・・・
深い花芯を「わがさくら咲く」と掬わずにいられなかった。

この「掬粋蘭花」は、私の「小さけれどもわがさくら」。
今年も、発行出来たーーーー。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　宇井　清太

西行のさくらありわがさくらありて
　　　　　　小さけれどもわがさくら咲く　　　馬場　あき子
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　雪鬼華麗

沁　Ｓｃｏｏｐ　Ｄｒｅａｍ

さくらを想えば西行・・・・。春は巡ってきて、西行には遠くおよばない小さい私のさくらであるけれども、ようやく咲いた・・・・