宇井 清太

佐藤義清23歳。 出家。
諸国を行脚しながら心に宿す女性はーーーー愛してならない女人。

こころの最奥にいそむ本能の、無明の闇路のような長い夜が続く。
その闇の中に黒い炎がからむような愛欲の日々。
比べるもののないほどの黒く燃える炎、邪淫の業火。

   どうなってもーーーーいい
      −−−−−今日をーーーー地獄まで持ってゆくーーーー。

シンビにこの地獄絵はないとおもう。
だが、爽やかに、おおらかに、麗しく咲いている花の陰に、
この花を見れば、西行のこの歌が重なる。
この花のLipに、女の、花の、黒い炎のような情念を見る。

(ただでさえ女犯の罪は重いのに、まして、自分の妻でない人妻と関係を持ってはならない。)

西行    聞書集

異様に黒々とした炎で焼かれる苦しみは、夜の愛欲の思いの応報であろう。

Blaze

Blaze

地獄に墜ちてもいいーーーー。
愛の中にひそむ黒きほむらのような愛欲。

不邪淫戒を破った西行。
地獄極楽絵の中に、紅蓮地獄の凄惨に燃える男女。
新古今集の寂然の歌を重ねる。

     さらにだにおもきがうえに小夜衣
             わがつまならぬつまな重ねそ    寂然   新古今集

      

なべてなき黒きほむらのくるしみは
         夜の思ひの報いなるべし
     

 MOG95−108
 Beauty Fanfare
 花径12cm
 1月咲き 大型種

西行

なべてなき黒きほむらのくるしみは
         夜の思ひの報いなるべし

yuyu11