私は世界の銘花をコレクションしてきました。
それらの花は、ランの育種というのは「こういう花をつくること」を実現した花華で、いずれも、見る人を鼓動させる素晴らしい花です。極整形花、極丸弁花を目標し、それを美しいと感じるのは洋の東西を超えた、人間の美感であろう。
だが、それとは別な見方・・・・「シンビは本当にその花を望んでいるのか」という視点から見ると、別な美があるのではないかと想う。さらに別な美を想うとき、日本の美感を想えば、日本には極丸弁の花とは異なった花を掬う文化がある。
日本には満月を美しいを想う心と同じ深さで、三日月の、欠けた月を美しいと想う美学がある。肩の細くやせた女性も美しいではないか。葉陰に咲く「藪椿」も美しいではないか。この美感が私をも支配して「私のシンビ」を創ろうとしたとき、極整形、極丸弁花を超えた「美しいシンビ」は、日本の美学を宿す花を作りたい・・・と考えてきました。シンビはモンスーン気候が育んだ花である。シンビの本当の美しさは、キリスト教文化の美感と異なるのではないか想う。簡単に言えば、花に湿潤が、滲むような有情が、東洋の哲学の空間が、流れる時間が宿るランがCymbidiumである・・・と私は想う。
人に見せる花、展示会で賞を取る花は極整形、極丸弁花、巨大輪花とおもう。
でも、私の心を、例えば病気したときも、ランをやって良かった・・・・想いにさせてくれるのは、ここに掲載の花である。
Starlight Promunadeは、私の交配の中で、私が共生しいつもこころに抱いている花である。

                                                宇井 清太
Starlight Promenade
MOG99−48 
  Starlight Promenade 
    花径 12cm 1月咲き  大型種
   宇井 清太

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