シンビには本葉が6枚で花芽を分化出来るもの、8枚で出来るもの、10枚で出来るもの、12枚で出来るものがあって、葉の数が少ない品種は比較的容易に花を咲かせることが出来ます。何枚で花芽分化するかは基本的には遺伝子で決まっております。
シンビは1ヶ月に生長する葉の枚数は約1,5枚程度です。シンビは品種によって花芽分化の時期が決まっております。6月に分化するもの、7月に分化するもの、8−9月に分化するもの、10月に分化するものがあります。
例えば、葉の枚数が6枚で8月に花芽が分化する品種であれば4月に新芽が生長始めればよいことになります。栄養生長期間が4ヶ月ですので4x1,5=6、つまり花芽分化の8月までに6枚になり、花芽が分化することになります。
12枚の品種では、春から新芽が生長始めたのでは秋の花芽分化時期までにじゅうぶんな葉の枚数にならないために花芽は出来ないことになります。

プロの鉢物生産の場合は、フラスコより出してから3−4年、胡蝶蘭と同じような高温で暖房して栄養生長期間を長くして葉の枚数を確保して山上げしております。一鉢に何本も花が立っているのはそのためです。

以上のことから、芽カキは9月中旬より以前に発生した芽についてのみ行うこと。9月中旬以降にに発生した芽は大切にすることです。カトレアは1−2枚の葉で花は咲きますが、シンビは6−12枚の葉が必要なのです。実際栽培してみるとシンビが難しいのは、この葉の枚数が非常に重要だからです。毎年咲かせるのは至難な品種が多いです。

シンビには咲きやすい品種と咲きにくい品種がある
  秋から冬
特集予告!
    季節ごとに栽培法掲載します
シンビは朝の最低温度15度Cに遭うとステムを伸ばし始めます。
正確には感応」温度は品種によって異なるのですが、一応15度Cが標準になります。
シンビは早咲き品種であれば10月はじめには蕾が出る状態になります。アスパラカス状の時誘引になりますが、非常に折れやすいので、一度に強く誘引しないことです。
シンビの多くの品種は半アーチステムに咲くので、あまり直立に立てないほうが良いようです。
シンビは空気の対流するところに自生しています。
対流は「気韻生動」とも表現されますが、自然界では空気は対流しているのです。風ではありません。自然と動く空気が良いのです。密閉が良くないのです。
大事にして、ビニールの袋をかぶせるのはシンビには非常に悪い結果になります。低温の害より、密閉の害が大きくなります。
シンビは雨に含んだ養分で生きています。
以上のことから考えると、秋から冬は自生地では乾期で雨は降らないのですから、肥料分はないのです。肥料分はなくとも生きられるように進化したのです。いらないのに与えればシンビは簡単にいえば人間の「糖尿病」とおなじになります。

この時期は絶対に肥料は与えないで下さい。

(プロの鉢物栽培の場合は与えますが、趣味の場合は与えないで下さい。)
シンビは四季のあるところに自生しています。温度にも四季それぞれの温度があります。
冬は低温です。シンビのほとんどの原種は温帯の温度ですので、秋から冬の温度はだんだん下がって、朝の最低温度は0−5度C
程度まで下がります。この温度でシンビは生きられるように出来ています。私の温室は5度Cで自然に作っています。これで立派に上記の写真のように咲きます。秋から冬はこのような温度でよいのです。
温帯の最高温度と最低温度の差は約13度Cです。
これ以上の温度差の場合はシンビは良く出来ないのです。自然にはありえない温度になります。砂漠では温度格差が40度Cにもなります。温帯の自然の温度格差は13度Cです。このことを基準にして下さい。温度較差が8度Cー13度Cがシンビにあった温度です。
朝の最低を5度Cにした時は最高温度は18度Cになります。
この温度較差13度Cは四季を通じて同じです。自然界の法則というのはそのようになっているのです。
シンビのほとんどの原種は四季の変化のあるところに自生しています。
したがって、日光も四季の変化に合わせて強弱になります。
シンビは下草として生えているのです。そして自生地は深い霧に覆われます。この弱い光の下で生きられるように進化したのです。
このようなところでは、紫外線は非常に少ないです。そして、一日中強い光が当たるということはありません。
紫外線の少ない光は、丁度、障子紙を通過した光です。
シンビは秋から冬はこのような光を好むのです。これ以上強い光は必要としないのです。この弱い光で十分に休眠中のシンビは光合成出来るのです。シンビは障子紙の光。このことをわすれないでください。この光で作ると、私のシンビのような、下の花から一番上の花まで同じ大きさに咲きます。ごちゃごちゃに咲かないで、シンビ本来の姿に、花色に咲きます。そして、花保ちが非常に良いのです。交配する場合は特にこの光でないと結実率は悪くなります。紫外線の無い光では緑花は特にきれいに咲きます。

私は、四季を通じて影の出来ない光、つまり「散光」の下で栽培しています。木漏れ日、霧の中の光は散光なのです。
以前、ファイロンで作ったときは非常に良く出来たのは、この被服材はガラス繊維で出来ているので、影が出来なかったからです。
障子紙の光も影が出来ないです。特に、夏はこの光が重要なのです。


シンビジュウム栽培で最も注意しなければならないのは、秋から冬の潅水、湿度、水分です。
この水の考え方が違うとシンビは失敗することになります。
注意  シンビは作物ではありません。自生地の植物です。ヒマラヤの自生地からあなたのところに移住してきたのです。以上のようなことを考えると、ヒマラヤのダージリンがシンビの多くの原種が自生しているのですが、そこは、9月下旬になると雨期は終わり乾期に入る時期なのです。雨は降らなくなります。
注意
  雨は降らないですが「夜露、夜霧」は深い。
この真似をすれば良いのです。鉢には毎日与えていたのを、乾燥するまで止めて、暖地では外に出したままで、夜露に当てます。寒地でも同じなのですが、日本では自生地ではありえない秋の長雨は厳禁になります。品種によっては、病気がでます。自生地にない条件はしないことです。シンビはこの時期は葉より吸収してバルブを肥えさせます。
注意  乾燥というのはシンビの根が白くなった状態です。この白いものはペクチンで根を乾燥から保護しているサランラップのようなものです
この時期のシンビは葉から水分を吸収すると同時に、鉢の表面の露出した根より水分を吸収しています。鉢底の根ではありません。露を吸う、露出している根なので「露根」と呼んでいます。
この時期から翌年の4月までは鉢底より流れ出すような潅水はしないで下さい。
夜露が地面をしっとりと濡らすように鉢の表面を湿らす水やりをすれば、どんな系統の品種も作れます。
注意  夜露は葉を濡らします。
この時期、自生地の空中湿度は80%位ですので、部屋に取り込んだ鉢には、時々軽く葉に霧を与えます。空中湿度が非常に重要なのです。
注意空中湿度が少ないと蕾に水滴が出る。これはくるし涙。落蕾します。 


    潅水,空中湿度
私がシンビを作り始めたのが昭和37年。それから40年シンビのみを追い求めてきました。
私の夢はシンビを育種することでした。これまでRHSに登録した交配は180です。この交配の中から選抜した優良個体は3000品種になります。約1000坪の面積で育種しています。30年にわたって世界中より交配親をコレクションしてきました。このホームページには惜しみなく素晴らしい花を掲
載します。栽培の究極を惜しみなく公開します。ご期待ください。
最上オーキッドガーデン(最上蘭園)の交配新花の初花の開花

sodatekata