炭素循環とは

  空気の成分(体積)
    窒素     78,1%
    酸素     20,93%
    アルゴン   0,93%
    二酸化炭素 0,03%
    水素     0,01%
      他に水蒸気、ネオン、ヘリウム、クリプトン、キセノンを含む。

  炭素循環とは、この空気に含んでいる炭酸ガス(二酸化炭素 CO
)の地球規模で行われている循環である。
  地球温暖化の問題で、化石燃料使用によるCO
の排出による空気のCO濃度が高くなることが大きく関与している
  と指摘されております。
  現在の空気中のCO
の濃度は0,03%ですが、何億年前は現在の濃度より高かったと言われております。

  

自然界における炭素化合物の循環をいう。炭素は生体を構成する中心的元素であり、有機化合物の中核をなす。炭素は大気中から生物体に取り込まれ、さらに生物間を食物連鎖を通じて循環し、最後には大気中に還元される過程を繰り返している。大気中の二酸化炭素濃度がほぼ300ppmと一定の値を保っているのは、次に述べるように、自然界で絶えず炭素化合物が形を変えながら循環しているためである。

炭素は生物体の乾重量(乾燥後の重量)の半量近くを占める。陸地では二酸化炭素、水中では水に溶けている二酸化炭素や炭酸イオンがおもに緑色植物の光合成によって炭素循環系に入る。その量は年間約1000億トンと推定される。光合成産物としての有機物の一部は、その植物自体の呼吸や植物を摂食する動物の呼吸を通じて二酸化炭素として大気中に戻される。また土壌中の動物の遺体や排出物、植物の枯死体は微生物どの分解者によって分解され、二酸化炭素として放出される。安定した状態にある生態系では光合成によって固定される炭素量と、呼吸および分解によって放出される炭素量はほぼつり合っている。固定量が放出量を上回る状態では、生物体や枯死・遺体などの有機態炭素がその系に蓄積していることになる。地球全体としては炭素の固定量と放出量はほぼつり合っているが、石炭、石油などの化石燃料の消費が著しく増大し、その結果として大気中の二酸化炭素量はしだいに増加しつつある。産業革命がヨーロッパ諸国に波及した19世紀なかば以後、2000億トンの二酸化炭素が大気中に加えられたと推算されている。
         引用出典  Yahoo百科辞典 南川隆雄

  日本で排出される二酸化炭素とほぼ同じ量がアフリカの熱帯雨林の植物で吸収されていることが
  2008年の調査で初めて判明した。安定した生態系が営まれている証左である。
  これまでは南米のアマゾンの熱帯雨林が最大の二酸化炭素吸収とされてきたが、アフリカの熱帯雨林に
  ついては不明であった。

  

 ラン栽培と炭素循環

  本講座の最も重要な項目である。
  前記の記述の中で「土壌中の動物の遺体や排出物、植物の枯死体は微生物どの
  分解者によって分解され、二酸化炭素として放出される。
  
  
  ランの自生地には必ず「枯れ落ち葉」(コケ、植物組織の死骸など)がある。
  この「枯れ落ち葉」のあるところには多種の微生物が生息している。
  その中には多くの糸状菌類も生息している。
  ラン菌(糸状菌類である材木腐朽菌)も生息している。
  ランはこの枯れ落ち葉などの植物の死骸を分解する材木腐朽菌と共生して生きている。
  枯れ落ち葉、植物組織は光合成で作られた高分子の炭水化物のセルロース、リグニン、ペクチンなどで
  出来ているが、材木腐朽菌によって分解されると、低分子の炭水化物である糖類になる。
  この糖類は、更に他の微生物よって分解されやがて二酸化炭素となって空中に放出される。
  この自生地における枯れ落ち葉がランにより分解したときに出来る糖。
  この糖をランは利用した。
  ランの自生地というのは、枯れ落ち葉を分解する菌が生息している場所で、
  しかもラン菌(材木腐朽菌)が勝ち組みになっている場所である。
  植物の死骸に中にも窒素成分の多いものもあれば、少ないものもある。
  窒素の多い死骸には、微生物の中でも酵母、乳酸菌のような微生物が分解し、
  窒素成分の少ない死骸にはキノコなどの材木腐朽菌が分解する。
  役割分担が異なる。
  この微生物の役割分担があるからこそ、ランがパートナーとして選んだ菌は限定される。
  窒素成分の少ない(炭素率で言い表される)・・・炭素率が40以上の低窒素の植物死骸では
  材木腐朽菌が分解して糖を作る。
    (炭素率が10、20のような家庭ゴミ、鶏糞、牛糞のようなものは酵母、乳酸菌などが
     住み付き、醗酵、腐敗で分解する。
    同じ炭素循環でもこういう窒素成分の高い植物死骸では、炭素循環と窒素循環が同時に行われている)
    魚、肉、油粕などは窒素成分が多いから、醗酵、腐敗させると糖でなく、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素が出来る。
    有機物肥料というのは、この窒素成分の高い動物、植物の死骸から作っている。
  動物も植物も生命を維持するためのエネルギー源は炭素循環の炭水化物の糖である。
  したがって、ラン栽培する場合、この炭素循環が最も重要なものでる。
 
 ラン菌が枯れ落ち葉を分解して作る糖。
  ランはこの糖を必要とする植物である。
 
  以上のように地球上に最後に生まれたランは、
  地球規模で行われている炭素循環の中で、特にラン菌(材木腐朽菌)という菌が分解する糖を、
  自ら行う光合成で作る糖と共に利用し生きている植物である。
  自生地において新参者のランが、とうてい他の植物に勝ち目のないランが、
  生き残るために選んだ道が、ラン菌が作る糖を利用するというものであった。
  ラン栽培が、他の植物栽培と大きく異なるのは、ここのところである。
  ところが、現在のラン栽培、ランにも葉があるという理由で、一般の植物と同じ理論、
  栽培理論で行われている。
  しかし、どうしても説明の付かない問題が出てくる。
  その理由が、今日まで深く掘り下げられないまま、
  「ランは肥料で作る」ような栽培が横行している。
  実際の栽培現場では、コンポストに自生地における「枯れ落ち葉」の
  炭素循環が再現されていない。

  ランは自生地の山の、森林の、草原の草である。
  人間が作った「作物」ではない。
  そこでは誰も肥料など与えていない。
  肥料・・・。
  それは人間の向上心、欲望が生んだものである。
  より早く、より大きく、より多く・・・・。
  ランは決して・・・そのようなことを望んでいない植物である。
  そういう植物に人間の所業、欲望、優勝劣敗、ビジネスを当てはめると、
  ランに炭素循環を削除したまま肥料を与えるという暴挙?を行なうことになる。
  重ねて記す。
  自生地においてランに誰も肥料など与えていない。
 

    
      ナドソンのランの無菌培養には培養基に糖を添加している。
      ナドソンはランの自生地における枯れ落ち葉のラン菌による炭素循環による
      糖の存在を知っていた。
      ラン菌の菌糸がランの種子に供給するエネルギー源が、この炭素循環由来の
      糖であることを突き止め、培養基に糖を添加することで無菌培養によるラン発芽に成功したのである。




  関連項目
   1 光合成
   2 生態系
   3 炭酸
   4 二酸化炭素
   5 有機化合物
   6 糸状菌
   7 材木腐朽菌
   8 ラン菌
   9 炭素率
  10 枯れ落ち葉の成分
  11 腐葉土
  12 腐敗と醗酵
   
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