その他の注意すること

2月、節分の季節頃から温室は急激に温度が上昇するようになります。
Cymbidiumが他のランと最も異なる「敏感」さを現わすのは、この「温度の急上昇」です。
温室が密閉状態では、例えば、室温が15℃であっても、葉の温度は40℃にもなっているのです。

アカダニが感じる温度は、室温ではなく「葉の温度」です。
Cymbidiumの葉の温度は60℃にもなります。この温度は、アカダニからみれば「生存の危機」の温度です。アカダニの全個体が♀になり大繁殖を行うようになります。
強い光は「葉やけ」を起こすように考えますが、日射病、熱射病より「熱中症」がCym栽培では重要なのです。
Cym栽培では、外気温がプラスの朝は、速やかに外気をハウスに入れるようにするとアカダニの繁殖を抑えることが出来ます。
 熱中症にしない!!
Cymbidium栽培では、冬期は二重張り、三重張りを行って防寒しているのが普通ですが、この二重、三重のフィルムを「紫外線カットフィルム」を使用します。
このフィルムは「光」を散光にする働きがあって、自生地の光と非常に似た光の「質」になります。丁度、ガラス温室でガラスに「石灰乳」を塗った光になります。ダイオネットの40%を張って、更に、紫外線カットフィルムを張ります。
この光の下ではアカダニは全部♀になることはなく、ゆるやかな繁殖になります。

アカダニは不妊症になる!!
このフィルムを一年中張った場合は、アカダニは「不妊」になり卵を作れない成虫になります。この成虫はの生存期間は短いので、やがて、アカダニは絶滅します。

私は、この状態を数年続けたところ、薬剤散布をしなくとも良い状態になりました。

 紫外線カットフィルムを張る

アカダニの防除には「薬剤散布」が一般に行われていなすが、アカダニも種族保存に必死の状態です。簡単には絶滅できないです。短時間で世代交代して繁殖し薬に対して「耐性」を持った個体を作って種族の保存をはかります。

Cymbidium栽培ではアカダニの前記の繁殖習性を利用して「無農薬」防除が可能なのです。
これは、Cymbidiumの自生地では「アカダニ」の大発生が見られないことから、自生地を再現する栽培法でもあります。
Cymbidium栽培でのアカダニの大発生に時期は、
 1 冬が過ぎて春になったとき。
     生き残った成虫が、種族を継続維持するために大繁殖します。この繁殖は初期の温度が低い
     時は♂、♀がありゆ るやかな繁殖ですが、紫外線が強くなるにしたがって♀が多くなり、大繁
     殖するようになります。
 2 8月下旬ごろから。
     この季節は俳句の季語では「晩夏光」となり、残暑がきびしい時期です。晩夏光は夏の盛りの 
     光と異なって、紫外線が強く刺さるような光です。この光がアカダニの生殖を刺激し大繁殖しま
     す。この繁殖は、やがて来るきびしい冬に備える種族保存のためのものです。
     霜の降る季節になれば、♂、♀のアカダニ本来の状態の成虫になって越冬することになります。
 アカダニの大繁殖する時期
アカダニを不妊にするウラワザがあります!!

アカダニは紫外線の少ない光の下では「不妊」になるのです。
アカダニが繁殖するためには一定量の「紫外線」が必要なのです。限度を越す強い紫外線は生物を死滅させるほど害のあるものですが、アカダニは適度の紫外線を生殖に利用しているのです。

Cymbidiumは自生地では深い霧、木漏れ日の下で自生しています。
深い霧も木漏れ日も「紫外線」をカットしているのです。「日傘」をさした状態です。太陽からの「直射光」が葉に当たる事は無いのです。


 アカダニを不妊にする

アカダニは生存最適条件下では爆発的な大繁殖はしないのです。する必要ないのです。
低温で多湿で紫外線の少ない条件下では激しい繁殖はしないのです。このような条件下ではアカダニも♂、♀があり生殖を行い♀は卵を産み、ゆるやかな繁殖を行います。

日本の冬は寒いので、果樹のアカダニの多くは樹皮の隙間で寄りかたまって越冬して春を待ちます。
Cymbidium栽培では最低5〜8℃以上で冬を越していますので、ハウスの中ではアカダニは繁殖します。ハウスの中はしばしば高温乾燥状態になります。

2月になり紫外線が強くなりだすとアカダニは大繁殖します。
紫外線が強くなると、アカダニの♂は♀になるのです。性転換するのです。種族の一大事というので種族全体で大繁殖して子孫を残すようにするのです。高温乾燥、紫外線の強い条件下では短日数で成虫になり、それが全部卵を産むので短時間で爆発的に大繁殖するのです。種族の存亡の危機に直面した時、生存の確率の本能が呼びおこされる。この状態が人間から見れば大発生に見えるのです。
 アカダニの繁殖習性 

 TOP

1 高温
     Cymbidiumは一般の植物と大きく異なるものに「葉温」の問題があります。Cymの葉は直
     射光線下では50℃以上にもなります。
     通気の悪いハウスでは室温が20℃でも葉温は50℃にもなります。いわゆる「熱中症」です。
     この葉の高温が問題になるのです。高温になった葉からの輻射熱で葉の周囲の空気が乾燥し
     てアカダニの好む条件になります。本当は好む条件ではなく、悪条件の中で種族を維持保存
     するために大繁殖するのです。

2 乾燥
     乾燥には上記の葉の温度の上昇で起こるものと、日本のモンスーン気候で梅雨の前、梅雨
     の後、9月に乾燥した条件になります。この季節がアカダニの好む条件になります。ダニにと
     って乾燥は嫌いな条件で、前記のように種族を維持保存するための大繁殖なのです。

3 紫外線が強いこと
     アカダニにとって紫外線は一定以上強ければ「死滅」する光線です。ところが、アカダニはこの
     紫外線を上手く利用して、逆に爆発的な繁殖に利用しているのです。アカダニも生き物ですの
     で種族を保存しなければなりません。紫外線が強い条件はこの種族保存の本能を刺激し、多
     くの個体を作れば、その中から生き残るものを確保するようにするのです。

 アカダニの大繁殖の条件

Cymbidium栽培で最も悩まされるものにアカダニの大発生があります。
アカダニの繁殖には条件があって、この条件を満たさないような栽培を行えばアカダニの大発生を抑えたり、繁殖出来ないようにすることが可能です。ラン栽培の究極は「無農薬栽培」です。自生地では誰も薬剤散布などしなくともランは生存し続けてきた植物です。
アカダニは条件が揃えば爆発的に増殖するけれども、条件が合わない場合は細々と種属を維持する弱い生き物です。。

dani